【モヤモヤを共有】Social Good Circleは安心して語り合える場所【ソーシャルワーカーの駆け込み寺です】
こんにちは。社会福祉士のタカヒロです。
今回は、「Social Good Circleは安心して語り合える場所」というテーマでお伝えします。
「Social Good Circle」は、ソーシャルワーカーなどの対人援助職が、日々の実践でモヤモヤしていることを語り合う会です。よって一般的な事例検討会みたいに、問題を解決したり助言をする場ではありません。
この「Social Good Circle」は2022年12月に第1回目を開催し、月に1回行っています。
目指すは「ソーシャルワーカーの駆け込み寺」です。実践でモヤモヤして職場でも言えないことを、「Social Good Circle」では温かく受容します。
以下に、「Social Good Circle」の内容を説明します。最後までお読みいただけると幸いです。
自己紹介
今まで、回復期病院のMSWや老健の支援相談員としても働いていました。社会福祉士会では担当ブロックで事例検討会を開催しています。
事例検討会の回数を重ねるにつれ思ったことが、「そもそもクライエントのことをちゃんと理解しているのか?」ということです。
目の前のクライエントまたは組織含め、事例検討会で「これが問題だ!」となった場面でも、そこに参加者同士が向き合って、支援対象者についての理解を深めていたか疑問でした。
もくじ
以下の流れでご説明します。
*この記事は15分程度で読むことができます。
Social Good Circleは安心して語り合える場所
ここでは「Social Good Circle」の内容について説明します。
下記の画像をご覧ください。
「Social Good Circle」の一番の目的は、「心の「モヤっ」を一旦置いてみんなで眺めてみよう」です。
全体像については、下記の7つにまとめてみました。
- 話題提供者と参加者はフラットな関係です
- 堅苦しいルールはありません
- 解決を目的としていません
- とにかく受容と共感をしましょう
- 「わかる〜」を合言葉に!
- お土産は話題提供者の笑いと涙w
特にお伝えしたいのが、「Social Good Circle」では解決を目的としていないことです。
解決を目的にした場合、「何か助言しなきゃ」とか「問題はどこなんだ」などと、クライエントの状態(困っていること)をあまり理解せず、問題解決志向型で進めることがあります。
そうすると、事例提供者は「そこが問題ではないのに…」「話を聞いてくれない」などの、消化不良で終わることになります。
これでは、せっかく時間を割いてまとめてもらった事例提供者が不憫でなりません。
よって「Social Good Circle」では、解決をしない代わりに、とことんモヤモヤしている事例提供者の語りを聞き、自らの実践と重ね合わせながら疑似体験をしてもらいます。
参加する際に大切なこと【ルール】
当初、参加者に向けてルールを設けることに、若干抵抗がありました。なぜなら、自由な語り合いにルールは窮屈になりそうだと思ったから。
しかし僕も同じなんですが、今までの事例検討会は「問題解決志向型」で進めていました。よって「問題は何かで、解決するにはどうしたらいいのか」というマインドに、ある意味洗脳されています。
なのでルールを設けることで、語り合い中に問題解決へ向かいそうでも、修正しやすくなります。そのルールというのが、下記の通りです。
ごくごく当たり前のルールを書き出しました。
- 助言しないこと
- 否定しないこと
- 解決しないこと
- 話題提供者を尊重すること
- 自分も楽しむこと
特に④と⑤は大切なルールです。そのルールを達成するために、①~③までが存在するという構成です。
このルールは、「Social Good Circle」の冒頭で、参加者全員と確認・共有します。
Social Good Circleを始めたきっかけは?
「Social Good Circle」を始めたきっかけは、「“フツーの人”のまちづくりの学校in長崎2022」に参加したことに遡ります。
集合研修で竹端先生にお会いした際、「支援者のモヤモヤを共有して、安心して語れる場をつくったらどう?」とご助言を受け、もう一人の受講生(忖度なく話してくれる素敵な仲間)と「Social Good Circle」を企画することになりました。
ちなみに、2022年7月にプレセミナーを開催しています。その際、講座の内容をYouTubeで発信しているので、ご興味のある方はご覧ください。来年度も開催予定です。
まずは企画書を作成【そもそも何が課題なのか】
早速、企画書を作成しました。まずは「僕が受けてきた事例検討会の何が課題なのか」をブラッシュアップしました。
下記画像をご覧ください。
- モヤモヤしているけど、相談できる社会福祉士がいない
- 事例検討会って憂鬱・・突っ込まれるの怖・・
- こんなことでモヤモヤして、恥ずかしくて言えないけど一人で抱えるのもしんどいな
これを読んで「私も当てはまる」と思った方はいませんか?
まだまだ社会福祉士などのソーシャルワーカーは、一人職場が多いと聞きます。昨年、行政の社会福祉士向けに研修を開催した際、驚くほど「同職種がいないので相談できない」という方が多かったです。
一人でモヤモヤを抱え込んで、やっとの思いで参加した事例検討会では、重鎮の方々に否定や質問などで突っ込まれ、ボロボロになって「もう誰にも相談したくない…」となった記憶…僕も経験があります。
そのような体験をせずとも、気軽に語り合える場をつくるために「Social Good Circle」を企画しました。
具体的な開催内容
課題把握とルールを決めたので、最後に具体的な開催内容を書き出しました。下記の画像をご覧ください。
- 提供者は必ずしも書面は必要なし
- 遠方の方も育児で忙しい方も参加できるようにオンライン開催
- 2時間程度の対話型形式
- とにかく語り合える雰囲気をつくること
- 半年間は毎年開催を続ける
今までの事例検討会では、基本集合型でした。確かに集合することで、事例のリアリティが共有できるメリットはあります。
しかし「Social Good Circle」は問題解決志向ではないので、事例のリアリティより「語り合える雰囲気づくり」に重きを置く会としました。
よって、気軽に参加できる「オンライン型」で今後も続けていきたいと思います。加えて、社会福祉士会をベースにしていないので、全国各地から「モヤモヤしているから語り合いたい」という方がいらっしゃれば、お気軽にお問い合わせください。
開催して見えたもの【環境によって言語化の幅は広がる】
第1回目は12月16日に開催しました。記念すべき日に、合計6名のソーシャルワーカーが集まりました。
内容は下記の通りです。
- 自己紹介(氏名・所属・前職・参加動機)
- 提供者よりモヤモヤしている事例を口頭で説明。各々、メモなどを取って事例を理解しようとする姿見られた
- モヤモヤ箇所の確認
- 参加者へ事例に対する感想と共感箇所を投げかける。2~3回程度、発言のキャッチボールをして語りの深堀り
- 参加者の中にPSWや発達児童分野で勤務経験者が。前職時のエピソードも含めて共感事例を語ってもらった
- 参加者の一人から「私たちは見守るのも仕事なのに、それを理解してもらえなくて残念だった」との発言に「わかる~!」の共感。ここはハイライトの一つ
- 会の終結タイミングは、「危機介入時はがっつり支援した。いまは見守り時期なのでは。ちゃんと生活モデルで事例を捉えている様子」との参加者からの発言で、一同納得。1時間半経過したこともあり、終了となった
多少わかりづらいと思いますが、なかなか濃密な時間でした。
ここでわかったことが一つ。
「環境によって言語化の幅は広がる」ということです
環境によって言語化の幅は広がるとは?
参加者の皆さんは、最初緊張した面持ちで参加されていました。全員と顔見知りではないので当然です。そこで、語り合える雰囲気をつくるよう工夫しました。
例えば、下記のような声掛けです。
- 「〇〇さん、お待ちしていました!」
- 「子どもさんが入ってきても大丈夫ですよ」
- 「入退室は自由です」
上記の通りです。
「なんだ簡単じゃん」と思われたかもしれませんが、この何気ないプラスの声掛けが、笑いや安心感を引き出します。実践することで、参加者の雰囲気が柔らかくなりました。
その後は自ら積極的に発言は少ないものの、質問を投げかけることで参加者全員が相互に語り合っていました。
やはり、雰囲気が良い環境のもとでは、言語化がしやすい(幅が広がる)ことが改めてわかりました。
開催後のアンケート
第1回目の「Social Good Circle」修了後に、参加者の皆さんへアンケートを実施しました。以下、抜粋したものを提示します。
- 「前職の経験が自分にどう影響しているか」って話になって、とても面白かったです。意図したテーマではなかったけど、なんとなくそういう話になって、今の自分の自己覚知を、みんなと一緒に、自然にやってみてたなと思って、そこがとてもよかったな~と思います。
- 共感につきます!!みんなで分かち合うことが楽しかったです!
- 本当に、思っていた以上に楽しくてびっくりしました!大学時代のゼミみたいな感じで、同じ夢をもつ仲間と、理想を好き勝手喋って楽しかったあの頃みたいな感じになれればいいな~というのが私の思いです。
- 今回話して下さった事例も終結が難しい事例でしたが、リラックスした場だったので、難しい事例だけど、みんなで眺めてみるだけでも、自分の中でひとつの糧になっているんじゃないかと思いました!職場ではできないことだと思います😊
僕自身もすごく楽しかったです。いつもの張りつめた雰囲気ではなく、リラックスしながら事例を眺める会。とはいえ、提供者の語りにはみんなが耳を傾け、モヤモヤの疑似体験を行っている感じでした。
今後も「Social Good Circle」を続けていきたいと思います。
この記事を読んでいただいた方の中には、「わかる~」と共感した方もいると思います。「Social Good Circle」は、地域限定にはしておらず、全国各地から参加可能です。
もし参加を希望される方、または「見学だけ」という方も、お気軽にお問い合わせください。問い合わせ先は、このブログでも構いませんし、TwitterのDMでも大丈夫です。
「ソーシャルワーカーの駆け込み寺」を目指していきます。