ソーシャルワーカーが知りたい多職種連携のポイント【結論:連携のコツはそれぞれの役割を理解するところから】
こんにちは。タカヒロです。
地域包括支援センターで社会福祉士として働いています。今まで回復期病院と介護老人保健施設で数多くの多職種と連携してきました。
この記事で解決できること
この記事を読んで、解決できる悩みは下記の通りです。
- 悩み①:多職種連携って何から始めればいいの?
- 悩み②:どんなことを相談していいのかわからない
- 悩み③:そもそも連携できる人脈がいない
上記の通り。一言に「多職種連携」と言っても、ピンと来ない方がいると思います。
この記事では、そのような悩みを少しでも解決できるような構成です。今後のソーシャルワークに活用くださいませ。
もくじ
- ソーシャルワーカーが知りたい多職種連携のポイント
- ポイント①:まずは自分の役割と経過を伝える
- ポイント②:ざっくりとした役割を把握し、あとは質問力で突破する
- ポイント③:できればお互いの顔を見て情報交換が望ましい
- まとめ
※この記事は10分程度で読むことができます。
ソーシャルワーカーが知りたい多職種連携のポイント
多職種連携のポイントについて、結論は下記の通りです。
それぞれの役割を理解するところから
上記の通り。多職種の役割がわからない場合、「これをしてほしい」とか「ここは別の機関かな」などの判断が難しいです。
とはいえ、関係する全ての機関や多職種の役割を把握するのは、労力がいること。知識ばかり積み上がってしまいます。
では、どうするか。ここでは3つのポイントを解説します。
- ポイント①:まずは自分の役割と経過を伝える
- ポイント②:ざっくりとした役割を把握し、あとは質問力で突破する
- ポイント③:できればお互いの顔を見て情報交換が望ましい
それでは、それぞれ解説します。
ポイント①:まずは自分の役割と経過を伝える
意外とこれができていない人が多い印象です。
僕は社会福祉士会主催の基礎研修で講師をしていますが、情報交換のロールプレイングをさせると「何ができますか?」といきなり聞いてしまう方がいます。聞かれた相手はびっくりですよね。
まずは自分の役割を説明し、介入した経緯を簡潔に伝える
こうすることで、多職種は「ここまではできているんだ」とか「この先が課題なんだな」と理解してくれます。多職種が経過を理解してくれることで、今後の連携がスムーズになることは間違いないです。
元日本介護支援専門員協会の「鷲見よしみ」さんが、多職種連携に関する資料を作成していました。わかりやすい資料なので、一度見ていただくと多職種連携のイメージが沸くと思います。
経過報告はあくまで簡潔に
まずはこちらのツイートをご覧ください。
ナラティブな語りは相談援助場面で必要だけど、報告はナラティブではなく、結果から聞きたい派です。
— タカヒロ@社会福祉士×ブログ (@ta_hi_ro_30) April 8, 2022
時折目にするのが、経過報告をナラティブ(物語)に語るソーシャルワーカーがいます。なぜこうなるか。
- 主観で話している
- カギカッコ(セリフ)が多い
- 内容をまとめきれていない
上記の通り。例えば、「Aさんは○○○と言ったんですが、それに対して私は△△△と答えたんです。そしたら今度はBさんが□□□て返してきて。もうパニックですよ」。いや、こちらがパニックです、と言いたくなります。
クライエントからナラティブで聞くことはあります。しかし専門職同士でナラティブで聞くのは、アセスメントをしなくてはならなくなり、大変です。
伝えるコツは「①主訴、②ニーズ、③介入、④結果」
これだけ伝えれば、あとは多職種からの質疑応答で立体的になります。自らが一度に全て伝える必要はありません。
とはいえ、会話力は簡単に高められるものではありません。訓練が必要ですね。「対人援助の現場で使える 聴く・伝える・共感する技術 便利帖」は、実際に僕も活用した会話力を磨けるトレーニング本です。
場面に沿った会話力の訓練になるので、気になる方は下記リンクよりどうぞ。
ポイント②:ざっくりとした役割を把握し、あとは質問力で突破する
僕がまさしくこれです。連携相手の役割はざっくりとしか理解していません。それでも回復期病院や老健では、退院・退所支援でアウトカムを落とすことなく成果を上げてきました。大事なのは下記の通り。
質問力を磨くこと(人に興味を持つこと)
これです。自分が介入した経緯を伝えたら、多職種は「自分の立場でどう介入できるか」を紐解きます。この作業を手助けするイメージで質問すると効果的です。
例えば下記のような質問はいかがでしょうか。
- 私はこのようなニーズで見積もりましたが、何か別のニーズはありそうですか?
- 課題に対して直接関われそうですか?それとも間接的な介入が良さそうですか?
- この課題に対しては私が継続介入しようと思うので、役割分担で連携できませんか?
などなどです。個別ケースなので上記のような質問が成功するとは言い難いですが、「連携お願いします」と一点突破ではなく、具体的な質問をすることで「ならこう介入しよう」と多職種に考えてもらうことが重要です。
ポイント③:できればお互いの顔を見て情報交換が望ましい
コロナ禍でなかなか難しいですが、やはり顔を見て情報交換は行いたいものです。
なぜ顔を直接見た方がいいのか?理由は下記の通りです。
- 理由①:連携を依頼した際の表情がわかる
- 理由②:クライエントと連携相手の相性をアセスメントできる
- 理由③:質の高い情報交換ができる
上記の通り。
さらに、先日こんなツイートをしました。
他機関へ引き継ぐ際、本人面接に同席する場合が多い。理由は、クライエントの安心感に加え、クライエントが上手く話せないときやニーズを他機関へ把握してもらうために、合いの手を入れるため。要約したり保証することで、他機関は支援の内容を理解し、確実につなぐことができる。
— タカヒロ@社会福祉士×ブログ (@ta_hi_ro_30) April 12, 2022
特にクライエントとの相性は大事ですね。多職種の話し方・表情・仕草などから、クライエントの反応を推測します。相性が合わなさそうなら、僕はその旨正直に伝えます。クライエント目線で誠実に伝えることで、今まで嫌な態度をされたことはないので大丈夫と思います。
行けるならガンガン出向いた方が望ましい
直接顔を見ての連携は、こちらから出向くことが多いです。コロナ禍で事業所として難しい場合は、オンラインで情報交換するとか。やり方はそれぞれでしょうが、出向くのはアウトリーチにもなるので、検討の余地ありです。
「短時間ならいいですよ」と言われた場合は、事前に情報を送っておくのも有効です。内容理解してもらった状態で、すぐ本題に入れます。
ポイントは「だらだら情報交換しないこと」
長くても30分程度で終わるようにしています。時間が足りないようなら、一旦帰って情報を練り直すほうが得策です。一晩寝かせることで、意外に新たな見解が出てきたり、煮詰まっていることが紐解けたりします。無理に一回の情報交換で解決しようとはしないほうがいいです。
まとめ
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
今回は「ソーシャルワーカーが知りたい多職種連携のポイント」というテーマで解説しました。
ポイントは下記3つです。
- ポイント①:まずは自分の役割と経過を伝える
- ポイント②:ざっくりとした役割を把握し、あとは質問力で突破する
- ポイント③:できればお互いの顔を見て情報交換が望ましい
上記3つのポイントを実行するためにも、やはり会話力は必須です。訓練しつつ、クライエントの利益に沿った連携を行いましょう。
会話力を学びたい方は、下記書籍をご活用ください。
では、今回はこの辺で😌