ソーシャルワーカーが退職を考えるとき【結論:ソーシャルワーカーの経験はどこでも通用します】
こんにちは。タカヒロです。
突然ですが、皆さんの中でソーシャルワーカーを一度は辞めようと思った方は、少なからずいるのではないでしょうか。
そこで、退職に対する不安や疑問になることを書き出しました。
- 不安①:ソーシャルワーカーが退職したいと思う理由ってなに?
- 不安②:今の職場を本当に辞めていいのか迷っている
- 不安③:退職後のキャリアが心配
この記事を読むと、上記の不安を解決できます。
記事の信頼性
僕は、他業種から社会福祉士になりました。社会福祉士になってからも、回復期病院→介護老人保健施設→地域包括支援センターと転職を行いましたが、着実に社会福祉士としてキャリアアップをしています。
これらの経験も含めて書いているので、退職で悩んでいる方の参考になると思います。
僕の詳しいプロフィールはこちら
この記事のもくじです。
では、それぞれ解説していきます。
*この記事は15分程度で読むことができます。
ソーシャルワーカーが退職を考えるとき
結論からお伝えます。
無理して働く必要はありません。 ソーシャルワーカーの経験はどこでも通用します。
上記の通り。
無理して働く必要はない
ご存じの通りソーシャルワーカーは対人援助職です。
人を相手に仕事をしているので、こちらの思い通りに進められません。理不尽な要求や利害関係など、さまざまなストレスと対峙して仕事に当たらなければならないことが山ほどあります。
そのような中で、無理して働くと自分自身が心身ともに病んでしまう。
結果、自分だけでなく家族など、周囲まで巻き込むかたちになります。
これは僕の持論です。
- 持論①:自分のために働く
- 持論②:結果的に家族など、周囲の人生にもつながる
- 持論③:退職を考えたときのインスピレーションを大事にする
- 持論④:目的を持った退職を選ぶ
- 持論⑤:次のステージにつながる前向きな退職へ
上記の通り。偏りもあると思いますが、この考えはずっと持ち続けています。
ソーシャルワーカーの経験はどこでも通用する
本当にソーシャルワーカーはどこでも通用すると考えています。
こんなツイートをしました。
ソーシャルワーカーとして働いている方、「退職したい」と思ったことは一度はあったと思います。僕もその1人。理由はそれぞれだと思いますが、大事なのは辞めたあと。キャリアアップを目指すか、別の分野もしくはソーシャルワーカーを辞めるか。いずれも今までのキャリアは無駄じゃないということ。
— タカヒロ@社会福祉士×ブログ (@ta_hi_ro_30) February 12, 2022
冒頭でも伝えましたが、ソーシャルワーカーは対人援助職です。人の不安や訴えなどを受け止め、課題や強みを整理していく。さらに本人の生活の質が上がるために、周囲をどう巻き込むか、そういう気配りや俯瞰した視野の広さで業務をしています。
いかがですか?ここまで人のことを考える職業はないと思います。
結果、今の職場がダメでも、ソーシャルワーカーを辞めて別の仕事に進んでも、どこでも通用すると言っても過言ではありません。
ソーシャルワーカーの退職の理由
ソーシャルワーカーがどんな理由で退職を考えるのか、3つ挙げます。
- ハラスメント
- 給与が低い
- 燃え尽き症候群(バーンアウト)
上記の通り。当てはまる人は多いと思います。
では、それぞれ解説します。
ハラスメント
ここではハラスメントの種類で取り上げません。ソーシャルワーカーは人を相手に仕事をしているので、人によってストレスを感じやすい職業です。よって「ハラスメントをする側」に着目して説明します。
ハラスメントをする側に着目すると下記の通り。
- 上司
- 同僚
- クライエント
他にもあると思いますが、ここでは3人に絞りました。
上司によるハラスメントの種類
僕も実際に体験した、上司によるハラスメントの一部を紹介します。
その①:ノルマ的な退院調整(精神的に追い込むような業務など) その②:人の前での叱責 その③:人格否定(仕事のことではなく、性格や人柄を否定される)
人格否定まではあんまりですよね…。
上司から過度な業務を強制されたり、人の前で怒られたりすると、どんどん精神的に追い込まれます。
上司に対して「それは間違っている!」などと物言えればいいかもしれませんが、多くの方が黙ってしまう。それは、言ったあとのことも考えてしまうから。「面倒だな」と思うこともあります。僕もその一人です。
無駄な戦いをして、さらに心身ともに消耗するくらいなら、別の道を探すのもありだと思います。
同僚によるハラスメントの種類
僕の周囲に同僚からハラスメントを受けた人がいました。
その①:無視される その②:仕事をさせない(横取りされるなど) その③:陰口を言われる
上記のハラスメントを同僚からされると、辛いですね…。
上司に比べ、同僚と過ごす時間が長い方もいるのではないでしょうか。
その中で、挙げたハラスメントをされると、その場から逃げ出したくなるのも当然かと思います。
クライエントによるハラスメントの種類
最近は「カスタマーハラスメント」という用語も耳にします。
その①:暴力をされる その②:暴言を浴びせられる その③:セクハラされる
僕たちソーシャルワーカーはクライエントの利益を追求する仕事をしていますが、同時にクライエントと対等の関係性を持って仕事をすることに価値を見出します。
よって、上記のようなハラスメントを耐えることは、業務ではありませんね。
給与が低い
次にソーシャルワーカーが退職理由に挙げるものの一つ、「給与が低い」について解説します。
上記のデータは、「求人ボックス.com」が出している、社会福祉士の平均年収を表しています。
- 社会福祉士の平均年収は322万円
- 日本の平均年収と比較すると低い傾向
- 給与幅は268万円〜672万円と広い
- 勤務先や経験、スキルによって給与の差があるか
上記の通り。
僕の経験では、社会福祉士としてスタートした回復期病院での初任給は、総支給で「月26万円」程度でした。
そこから役職手当など徐々に上がりましたが…。
でも、一番大きかったのは介護老人保健施設へ転職したときですね。給与交渉などもさせていただき「年収400万円以上」は出してもらえるようになりました。
確かに、給与交渉は精神的に疲弊する場合があります。ですが、「これで難色示されたら次を探そう」と割り切って、自分の考えを説明するのも必要だと思います。
その説明一つで、自分の人生を左右する場合もあるるので、躊躇わず交渉してはどうでしょうか。
燃え尽き症候群(バーンアウト)
「職場でのハラスメント」や「給与が低い」などの心身ともに疲弊することが続くと、燃え尽き症候群(バーンアウト)になる場合があります。
そうなると、高い確率で下記のような気持ちになります。
「職場に行きたくない」
僕も同じような気持ちになったことがあります。
燃え尽き症候群には3つの症状があると言われています。
- 症状①:情緒的消耗感
- 症状②:脱人格化
- 症状③:個人達成感の低下
これらは、アメリカの心理学者「クリスティーナ・マスラーク」によって考案されました。
詳しく知りたい方は、こちらをどうぞ → 「e-ヘルスネット」
燃え尽き症候群を疑う状態として、下記をご覧ください。
状態①:朝起きれない 状態②:仕事に行きたくない 状態③:お酒の量が増える 状態④:イライラが募る 状態⑤:仕事が手につかない 状態⑥:人との関わりを避ける
複数に該当するようなら、燃え尽き症候群に気をつけたほうがいいかもしれません。
僕も回復期病院のときは、燃え尽き症候群のような状態がいくつもありました。
そのとき「使命感」や「責任感」だけでは、返って自分を追い詰めることもあります。小さい失敗をいつまでも気にしたり、追い詰めたりするみたいな。
なので、好きなことに時間を使った記憶があります。僕の場合は旅行でした。
同時に「自分は燃え尽き症候群かもしれない」と自覚し受け入れることも、気持ちが軽くなる方法です。
「クライエントのために」と思う以前に、自分自身の健康を優先することが、業務のパフォーマンスを上げることにつながると、僕は考えています。
ソーシャルワーカーの退職後の進路
僕の持論ですが、燃え尽き症候群など心身を消耗してまで、いまの職場で仕事を続けるべきではないと考えています。
理由は下記の通りです。
相談援助職としてのパフォーマンスが発揮できないから
これに尽きると思います。
ただ、闇雲に転職を繰り返せばよいというわけではなく、自分の中で目的を持った転職が必要です。
ここでは、ソーシャルワーカーの退職後の進路について解説します。
皆さんの中に「違う職場に行こうと思う」や「ソーシャルワーカー自体を辞めようと思う」など、考えがあるものの、まだ漠然としているようなら、この記事が少し参考になるかもしれません。
退職後の進路として3つ挙げます。
- 進路①:キャリアアップ
- 進路②:他業種に挑戦
- 進路③:フリーランス
では、それぞれ解説していきます。
キャリアアップ
この進路を選択する方は多いのではないでしょうか。
具体的には下記の通り。
今まで経験した分野(高齢者分野や児童分野など)の職場に転職する
実際、僕もキャリアアップを選択しました。
回復期病院では8割近い方が65歳以上の高齢者でした。退院支援や地域リハを通して、介護保険制度を学びました。その後、介護老人保健施設や地域包括支援センターに転職することで、さらに高齢者分野でのキャリアアップを図った次第です。
キャリアアップは、その分野の専門性を高めるだけでなく、経験をもとに給与にも影響を与えます。
採用側も「経験がある方を優遇しよう」とか「人材が少ないので即戦力がほしい」となるので、給与交渉にも応じてもらえる可能性が高いです。
他業種に挑戦
これは全く違う職業に就く意味で挙げました。
僕が考える他業種は下記の通り。
- 業種①:営業職
- 業種②:事務職
- 業種③:教育職
それぞれ理由を説明します。
なぜソーシャルワーカーは営業職に向いているか
正直、「なんで営業?」と思う方がいることでしょう。
でもちょっと待ってください。理由については下記の通り。
理由①:俯瞰して見れる 理由②:利益追求に長けている
ソーシャルワーカーは常に生活全体を見ながら支援する必要があります。経験を積めば、頭の中でエコマップを描きながら、関連性をアセスメントします。
また、クライエントへの利益追求のマインドがあるため、顧客の満足度を上げることに、それほど抵抗はないと考えます。
反面、デメリットも一つ。
「ノルマがあると苦しむかも」
特に医療ソーシャルワーカーは、所属組織とクライエントとの狭間で苦しむことがよくあります。
ノルマ的な退院調整を強いられた経験がある場合は、営業はやめておいた方がいいかも。
とはいえ、ここではソーシャルワーカーのスキルを見たときに、営業職は向いていると思ったので挙げました。
なぜソーシャルワーカーは事務職に向いているか
事務職が向いている理由は下記3点。
理由①:調整能力に長けている 理由②:電話対応スキルが高い 理由③:情報分析力がある
上記の通り挙げていると、ソーシャルワーカーのポテンシャルの高さに驚かされます。
もちろん、それぞれの業界によっては事務職が合わない場合もあると思いますが、基本的な事務能力はソーシャルワーカーのスキルを転換することができると考えます。
なぜソーシャルワーカーは教育職に向いているか
これにはソーシャルワーカーの経験が役に立つと思います。
理由①:スーパービジョンの経験や知見 理由②:人や自身の苦しみも含めて伝えられる 理由③:今までの実績を活かせる
上記の通り、ソーシャルワーカーの経験は教育職にも向いています。
スーパービジョンは「支持的」「教育的」「管理的」の3つの要素があり、特に批判をしない「支持的」な教え方は、多数の生徒や受講生から好まれるでしょう。
また、人の苦しみや訴えなどに耳を傾けるソーシャルワーカーは、教育現場で学習に不安を抱える生徒に対して、自身の経験も含めて教育できることから、重宝されると考えます。
フリーランス
3つ目はフリーランスです。
フリーランスを取り上げた理由は、下記の通り。
- 理由①:自分の裁量で仕事ができる(一部違うが)
- 理由②:良い意味で自己責任
- 理由③:需要が高まってきている
メリット多いです。
とはいえ、フリーランスになったからと言って、自分の都合だけで仕事はできません。
むしろ、フリーになったからこそ、「自分は何者」「何ができる」など、情報発信をしていかなければならないと思います。
僕もいつかはフリーランスで働きたいと考えています。
それまで地域包括支援センターでの経験、社会福祉士会を通じた人脈形成、成年後見を含めた他分野からの収入モデルの構築、などなど、やるべきことやってフリーランスへ挑戦します。
まとめ
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
それでは、この記事のまとめです。
- まとめ①:退職を考えたときは無理して続けることはしなくていい
- まとめ②:退職の要因人物は、⑴上司 ⑵同僚 ⑶クライエント
- まとめ③:退職後の進路は、⑴キャリアアップ ⑵他業種へ挑戦 ⑶フリーランス
退職理由は様々ですね。大事なのは心身ともに健康が一番です。
無理をしすぎると燃え尽き症候群になり、その後の進路…もっと言えば人生に影響を与えます。そうならないよう、一気に見切りをつける時も必要かなと。
ソーシャルワーカーの退職後の進路は、可能性に満ち溢れています。営業・事務・教育など、様々な業種で通用することでしょう。それだけソーシャルワーカーは万能で、対人スキルにおいて機能を発揮します。
この記事で一番言いたいことは、
「ソーシャルワーカーは社会に通用する素晴らしい専門職」
これです。
僕はソーシャルワーカーとして誇りを持っています。学べば学ぶほどです。
なので、退職を考えている方、ソーシャルワーカーを辞めようと考えている方、それぞれ、ソーシャルワーカーの経験は無駄になりません。
前向きに次のステージに進んでもらいたいと思います。
では、今回はこの辺で😌